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作品番号268
タイトル:『冬の使者』
撮影者:SARU
撮影者:SARU
被写体:白鳥
撮影年月日:2024.2.10
撮影場所:早崎ビオトープ
天候等:晴れ雲
撮影機材:Canon5D MarkⅣ(カメラ)、Sigma 150mm-600mm f5-6.3 DG OS HSM(レンズ)、NDフィルター、三脚
撮影データ:Tモード、3/5、f18、ISO100、ピクチャースタイル ディテール重視、露出補正+2.0
伝えたいことおよびストーリー:
この冬は白鳥が撮りたい!と思い、その美しさが最も引き出される撮り方は何かということを深く探求していきました。さまざまな作例を見るとスローシャッターの流し撮りというものがあり、それも悪くないとは思いましたが、もっと美しい流れるような白いフォルムと軌跡が表現したい気持ちがありました。かつ、黒抜きではなく冬のイメージに合うような明るい背景で撮りたいと思いました。また、白飛びしやすい被写体なのでスローシャッターにすることでそれを回避するという意味でもよい手法だと判断しました。
結果的に、白鳥が池から飛び立つ瞬間に池または山などを背景にし色温度をものすごく下げればそのイメージになるだろうと思いました。スローシャッターの手法としては通常の流し撮りとは異なり、メインにピントを合わせながらも後ろに軌跡ができるよう意図しました。そのためには、最初の0コンマ数秒間はメインと等速度となるようカメラを動かしてピントを合わせ、その後白鳥を追い抜いて軌跡を作る必要があると思いました。いろいろ実験していると、被写体の軌跡はカメラの動きに対して「点対称」で表れるということがわかりました。それを踏まえてカメラを振る方向を考えました。構図としては軌跡も多く入れたかったのでフォーカスポイントはセンターより進行方向寄りに寄せました。
撮影理論は明確になりましたが、困難を極める撮影だったためにまずは近場で白鷺を被写体として何度も練習をしました。ピントを適度に合わせながらも白飛びさせず、コントラストも下げ過ぎず、軌跡を美しく描くということがとてつもなく難しかったのですが、ある程度コツを掴んできた時にいざ本番に挑みました。
その場所は白鳥が300羽集まるという楽園のような場所で、その優雅な姿を見て鳴き声を聴いているだけでも癒されるような空間でした。初回は時間帯と撮影場所を主に検討し、2回目に行った時が本番となりました。最初の群れ(家族と言われています)が飛び立つとそれに続くように次々と白鳥が飛び立っていきます。その美しさにも圧倒されながらも冷静かつ着実にその場でスキルアップを行っていきました。練習したとは言え、やはりとてもむずかしい撮り方だったのです。
まずは、白鳥の鳴き声にも耳を傾け呼吸を合わせて飛び立つ瞬間を見極めていきます。さらに、ピントを合わせて追い抜くカメラを振るリズムも決定していきました。リズムを掴むためにはシャッタースピードは固定する必要があると思いました。そうしながらも、背景もこの辺りがよいなと分かってきた頃に、意識を集中させつつも優雅な気持ちでシャッターを切り続けた結果、この1枚が撮れました。
ピントについては先頭から2番目の子に合わせました。先頭の白鳥にも合わせたかったのですが、おそらく速度が他の白鳥よりも速かったためにピントが合わなかったようです。被写界深度的にはこの程度の距離の差ならピントは合うはずだと思うからです。
長文となり恐縮ですが、「冬の使者」の優美な姿が伝わったらいいなと思います。